<第52回全日本総合ハンドボール選手権大会 男子戦評>


<12月16日(第4日・決 勝)>

 

 大同特殊鋼 24 (11-12, 8- 7) 23 本田技研
        (3-2 延長 2-2)

 立ち上がりから両チームとも激しい攻防戦を繰り広げ、1対1での体のぶつかり合いや、ポストでの優位な位置取りのための押し合いと、まるで格闘技のような趣で試合が進んだ。
 両チームGKのナイスセーブもあり、なかなか点差を広げることができず、10分で4-4、20分で8-8と一進一退の試合展開であった。両チームとも退場者が出るなど荒っぽい試合であったが、本田技研ストックランの8得点で12-11と本田技研1点リードで前半を折り返した。
 後半に入り両チームとも手堅く試合を進め、20分過ぎに16-16の同点となる。本田技研ストックラン、ヴォル、大同特殊鋼 朴、白の両エースのシュートの打ち合いから緊迫したムードで試合が進んだ。残り5分で17-17の同点から大同特殊鋼 白などのシュートで19-18となり、残り1分を切り大同特殊鋼が逃げ切ると思われたが本田技研 佐々木のシュートで追いつき後半が終了した。
 延長戦に入り、本田技研ヴォル、大同特殊鋼 朴ともに失格となり、両選手ぬきの試合となった。本田技研 谷口、大同特殊鋼 峯村がともに2得点をし、試合を沸かせた。残り3秒大同特殊鋼 白のシュートが決まり、劇的な勝利をものにしたのは大同特殊鋼であった。

 


<12月15日(第3日・準決勝)>

 

 本田技研 21 (11- 6, 10- 9) 15 三陽商会

 立ち上がり本田技研は谷口のサイドで先取点を奪うとストックランの強烈なシュートや斎藤の速攻などで5点連取しリズムをつかんだ。一方、三陽商会は、本田技研の高いディフェンスと四方のナイスキーピングの前に攻めあぐみ、12分過ぎの中川のミドルシュートまで得点をあげることができなかった。その後、三陽商会は岩本のロングシュートや永島ポストシュート、飯嶋のサイドシュートなどで必死に追いかけたが、肝心なところでストックランのシュートが決まり、本田技研のペースで試合が進み11−6の本田技研リードで前半を終了した。
 後半、三陽商会は立て続けに4点連取し、10分過ぎには1点差まで詰め寄った。本田技研は谷口、阿部の両サイドを使った幅広い攻めで徐々に差を広げ、21−15で本田技研が勝利をおさめ、決勝へ駒を進めた。

 

 大同特殊鋼 26 ( 9- 9, 17-13) 22 湧永製薬

 決勝進出をかけた大事な一戦とあって、出だしから熱のこもった試合が繰り広げられた。大同特殊鋼は朴,白の両フローターを軸に藤井のポストで攻める。一方、湧永製薬はシグルドソン,中山の両フローターからサイド,ポストに展開し、互いに一歩も譲らない一進一退のゲーム展開が続いた。湧永製薬は15分過ぎから大同特殊鋼の退場に乗じてリズムをつかみ、やや試合を優位に進めるかと思われたが、大同特殊鋼も必死に食い下がり、前半終了間際に松林の速攻で追いつき9−9の同点で折り返した。
 後半、大同特殊鋼は堅いディフェンスから出足の速い速攻で加点し湧永製薬を突き放す。湧永製薬も必死に食い下がるが、大同特殊鋼のキーパー荻田がペナルティーを3本阻止し追い上げをかわした。大同特殊鋼は、要所要所で朴と白が確実にシュートを決めて湧永製薬の追撃をかわし、26−22の4点差で決勝進出を決めた。

 


<12月14日(第2日・2回戦)>

 

 本田技研 25 (12- 5, 13- 8) 13 大阪体育大

 2回戦第1試合は、大体大のスローオフでスタート。開始早々から本田は、ストックラン,ヴォルのロングシュートで先取点をとろうとするが、大体大GK吉田の好守にあい、なかなか得点できない。逆に大体大・加藤のミドルシュートが決まり、大体大が先行。その後9分までお互いに点を取り合い、3対3の同点。しかし、ここから本田は本領を発揮、ストックランの3連続シュートなどで、15分過ぎで7対3。16分半過ぎから大体大はストックランにマンツーマンをつける作戦にでるが、時既に遅く、その後に谷口サイドシュート、加藤の速攻などで加点し、前半終了時には、12対5のダブルスコア以上となってしまった。
 サイドを変えた後半、大体大はストックラン,ヴォルの両選手にマンツーマンにつく作戦にでる。しかし、開始早々、谷口のポストシュートで4対4を打ち破る。開始5分まで点の取り合いとなり、16対7。ここで大体大はストックランのみのマンツーマンに変更。その後、本田・谷口の退場の間も互いに点を取り合い、大体大はなかなかペースをつかめない。残り15分で大体大・四宮が速攻を決め、20対10に。この辺りから本田は、メンバーを変え、双方ともミスが多くなった。終わってみれば、25対13で、双方とも、少し大味な試合であった。

 

 三陽商会 26 (17- 9, 9- 6) 15 トヨタ車体

 2回戦第2試合は、トヨタ車体のスローオフで試合開始。開始2分、三陽・中川のミドルシュートが入り先取点。3分中川のペナルティーを岩本がきっちり決め、開始5分まで2対0。5分半に車体・岩本のミドルが決まったが、その直後、三陽・田中(茂)のミドルが決まり3対1。その後、トヨタ車体は、1−2−3ディフェンスをとるが、7分に岩本がPTを決め4対1。その後、三陽・中川の退場の間に、車体・野村のミドルが決まり、追い上げムードでお互いに点を取り合い、開始15分で9対6となった。その後も、三陽は、車体の1−2−3ディフェンスを中川などのカットインで得点を追加、車体は野村のロングシュートで対抗、双方とも攻撃力を全面に押しだし、点の取り合いとなった。トヨタ車体は、1−2−3ディフェンスで三陽商会の攻撃を防ぐことができず、17対9の8点差で前半を終了した。
 後半は、三陽商会のスローオフで試合再開、6分までお互いに堅い守りで得点できず、車体・吉田サイドシュートが入り攻防が始まった。14分半に三陽・岩本、車体・北出が退場し、5対5に。三陽・田中(将)の速攻で、16分過ぎで21対12となった。車体は、残り12分から三陽・岩本にマンツーマンする戦法にでた。その後、中川にもマンツーマンをつけるが、時既に遅く、26対15で試合終了。三陽のディフェンス、オフェンスが光った試合であった。

 

 湧永製薬 28 (16- 7, 12- 5) 12 大同クラブ

 大同クラブのスローオフで試合開始し、早々湧永は下川の速攻で先取点を取った。その後、田中のポスト、中山の速攻などで得点を重ね、14分で8−4の4点差にしたが、湧永の下川が退場となり、大同クラブが追い上げにかかった。しかし、地力に勝る湧永製薬が16−7と差を広げ前半を終了した。
 後半に入っても湧永製薬の優位は変わらず、また、大同クラブのベテラン勢に疲労の色が見え始め、一方的な試合になった。

 

 大同特殊鋼 25 (13- 5, 12-12) 17 OSAKI OSOL

 OSAKIのスローオフで試合開始。大同は冨本のミドルシュートからの4連続得点や堅い守りなどでOSAKIを圧倒し、前半を13−5で終了した。
 後半開始2分で大同の白が失格となり、OSAKIが2連続得点などで追いすがる。その後は、お互いに速攻やミドルシュートなどで加点するが、前半のリードを守りきった大同特殊鋼が勝利を収めた。