<第52回全日本総合ハンドボール選手権大会 女子戦評>


<12月16日(第4日・決 勝)>

 

 イ ズ ミ 25 (14-11, 11-13) 24 オムロン

 世紀末、第52回全日本総合ハンドボール選手権大会女子決勝戦は、前回優勝イズミと2年ぶりに決勝に進出したオムロンとの顔合わせになった。開始早々イズミは、呉からのポストパスを橋詰が決め先取点を奪った。ディフェンスの堅さでは定評のオムロンではあるが、守りのリズムがなかなか掴めず7分過ぎには4-0とされた。その後オムロンは相手ミスを手堅く得点に結びつけ7-6と1点差まで迫った。ここからは一進一退の攻防が続いたが、イズミの呉を中心とした攻撃が一歩上回り前半を14-11の3点差で折り返した。
 後半オムロンは高いディフェンスで、イズミの攻撃を分断する作戦に出たが、イズミは全員がよく動き広瀬のミドルシュートなどで得点を重ね、序盤はイズミのペースで試合は進んだ。しかしオムロン山下のミドルシュートが決まり始め、GK山口の好キープからリズムを取り戻し13分には19-19の同点とした。イズミはすかさずタイムアウトをとり、流れを変えようとしたが逆にオムロンの攻撃のリズムが良くなり20分には24-21と3点リードされた。その後オムロンは得点することができず27分に同点に追いつかれ、残り10秒でイズミ川村のシュートが決まり、イズミが劇的な勝利をものにした。両チームとも持ち味を十分に発揮した決勝戦にふさわしい好試合であった。

 


<12月15日(第3日・準決勝)>

 

 イ ズ ミ 25 (15- 6, 10-14) 20 北国銀行

 前半、スタートはお互いにセットからボールを回し、シュートを狙う静かな立ち上がりとなった。北国は6分までに何度かノーマークシュートのチャンスをつかむが、イズミGK高森の好セーブが続き、2−4と苦しいゲーム展開となる。なかなかリズムがつかめない北国は10分過ぎから、イズミのエース、No.10呉にマンツーマンDFを仕掛ける。しかし、フリースローからボールを回すイズミの攻撃を防ぎきれず、15分には3−8とリードを許してしまう。その後も北国はリズムをつかめず、イズミの0−6DFを崩すことができない。北国はたまらずタイムアウトをとる。その後、お互いに得点を重ねるが、ペースをつかんだイズミが15−6とリードを広げ前半を終える。
 後半、北国は変わらず、イズミの呉にマンツーマンDFをしかける。また、相手のミスからの速攻で2連続得点し、良いスタートを切った。その後、北国は高めのDFをしかけ、イズミの攻撃の足がとまり始めた。攻めあぐむイズミとは対照的にロングからポストのパスワークや速攻などで得点を重ね、17分過ぎには5点差までつめた。消極的な攻めが再三見られ、ペースのつかめないイズミは、19分過ぎ、タイムアウトをとる。22分過ぎ、イズミNo.4青戸の退場をきっかけに北国は速攻などで得点を重ね、24分には3点差まで追い上げる。しかし、イズミもスピードあるパス回しで地力を発揮し得点を重ね、追い上げる北国を振り切った。

 

 オムロン 23 (10- 5, 13- 9) 14 シャトレーゼ

 試合開始2分の間にシャトレーゼは、阿部のロング,大石の速攻で得点した。一方、オムロンは佐久川のシュートで2−1とし、点の取り合いかと思われたが、オムロン山口,シャトレーゼ遠藤両GKの好守で一進一退の試合展開となった。18分過ぎからオムロン山下のロングシュートなど、3連続得点でオムロンが試合のペースをつかんだ。シャトレーゼも多彩な攻撃を仕掛けるが、オムロンGK山口の再三の好守がひかり、10−5で前半を終了した。
 後半に入りオムロンは隅のカットインなど3連続得点し、リードを広げた。後半10分までに19−8と大きくリードした。シャトレーゼの攻撃は阿部の孤軍奮闘という感が強く、なかなかオムロンの壁を破れない。逆にオムロンは好調のGK山口を吉田に変える余裕を見せ、23−14でオムロンが圧勝した。

 


<12月14日(第2日・2回戦)>

 

 イ ズ ミ 32 (18- 7, 14- 7) 14 ソニー国分

 イズミは、立ち上がりからベストメンバーで、呉選手を中心に絶妙なパスワークを、ポスト橋詰選手が確実に好手し、手堅く3連続得点、前半10分間は完全にイズミペースとなり、7対1とする。以後、お互いオフェンスミスが続き、中盤は点の取り合いになった。しかし、地力に勝るイズミは、守って速攻でペースを取り戻し、食い下がるソニー国分を引き離し、イズミは18対7で前半を終了した。
 後半に入っても、イズミの速いペースは衰えず、ソニー国分も多彩に攻めるも、イズミのディフェンスに割り込めず、なかなか得点できなかったが、中盤からソニー国分は、若さあふれるプレーで、イズミの攻撃ミスを確実に得点するが、体勢を変えるまでに至らなかった。終わってみれば、イズミの大勝に終わった。

 

 北国銀行 18 (10- 4, 8- 6) 10 筑 波 大

 筑波大は立ち上がりから良く動きチャンスをうかがうが、北国銀行の堅いディフェンスをなかなか崩せず、得点をあげることができなかった。対して北國銀行も小さなミスがあり、なかなか差を広げることができなかったが、相手の退場に乗じて得点をあげ、前半を10−4北国リードで終えた。
 後半に入ってもこのペースは変わらず、筑波は2番山田(永)のミドルシュートなどで挽回しようとするが、結局単発的になってしまい、差を詰めることができなかった。北国は、最後まで足がよく動くディフェンスが続いたことが勝因といえる。

 

 オムロン 21 (12- 7, 9- 8) 15 日立栃木

 立ち上がりから両チームとも動きがよく、接戦となった。常にオムロンが先行し、日立が追いかける展開で16分には一度は日立が同点にした場面もあったが、その後オムロン8番佐久川のサイドシュート等で連続得点し、GK山口の好守もあり12対7の5点差で前半を終えた。
 後半、日立も懸命に追い上げようとするが、大事なところでシュートミスなどが目立ちオムロンの速攻などで逆に点差を広げられてしまった。試合を通してミスの多い、少ないで勝敗が決したと思われる。

 

 シャトレーゼ 26 (14- 6, 12- 8) 14 立山アルミ

 立ち上がり、両チームとも決定的なチャンスを迎えたが、両キーパーのナイスセーブに阻まれなかなか得点が奪えない。4分過ぎ、シャトレーゼはサイド、速攻、ミドルと多彩な攻めで5連取し完全に主導権を握った。立山はイージーなシュートミスやディフェンスの甘さから自滅した。攻めの形も単調で、なかなかシュートを決めることができず、前半は14−6の一方的リードで折り返した。
 後半もシャトレーゼの早いリズムは変わらず、次々と加点しリードを広げていく。立山は14番中塚に頼りすぎで、ボールの展開が悪かった。シャトレーゼは終了まで攻め手を緩めず次々とシュートを決め、キーパーのナイスセーブもあり失点も14点に抑え26−14で圧勝した。