2005年競技規則変更について(第2報)

平成1734

関係者各位

(財)日本ハンドボール協会
競技本部     
審判部・競技運営部

はじめに

 昨秋の国際ハンドボール連盟(IHF)総会で採択された競技規則改正概要(11項目)について、平成17130日に全国審判長会議で説明し、その内容を資料文書(第1報:24日付)として配布いたしました。その後、IHFの競技規則・審判委員会(PRC)から修正を加えた文書が公表されましたので、早速これを第2報として以下にお知らせします。

 なお、資料文書(1)の内容に関して(財)日本ハンドボール協会審判部に寄せられた質問等については、同審判部からIHFPRC委員長のChrister Ahl氏にE-mailで直接問い合わせ、その返答を下記資料の中に【注】として挿入しました。

 (財)日本ハンドボール協会としては、IHFと同じく本年81日から新競技規則を実施することになりますが、全国各地では4月早々から実施される諸大会も多いようです。さらに、各ブロック・都道府県協会や諸連盟において、新競技規則の伝達講習会が次々と開催されています。一方で、わが国のJ.H.A.新競技規則書の作成にあたってはIHF新競技規則書(7月上旬頃に発行か?)の内容を最終的に確認しなければならず、J.H.A.競技規則書の発行は早くても本年の9月頃になりそうです。このような実情を踏まえ、新競技規則の不徹底に起因する混乱を極力回避するため、(財)日本ハンドボール協会ホームページをはじめ、いろいろな伝達媒体を活用して情報を全国に浸透させていきたいと考えています。皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

 誤解や混乱が生じないよう、第1報と同じ文言を申し添えておきますが、新競技規則の条文がIHFから公式に発表されたのではなくて、競技規則の主な変更点についての基本的な考え方と方向性が示されたものを情報として公開する、という点に特にご留意ください。

 なお、IHFPRCから公表された文書の前文には、この11項目以外にも、小さな内容の変更があると記載されています。


2005年 競技規則変更(第2報)

 1. 競技時間の終了後におけるフリースローの実施について

(延長戦も含めて)競技の前後半の終了時にフリースローを行う場合、交代が許されるのは攻撃側チームのプレーヤー 1名のみであり、他の両チームのプレーヤーは誰も交代できない。さらに、攻撃側プレーヤーは(防御側プレーヤーと同様に)スローを行うプレーヤーから少なくとも3 m離れなければならない。本規定の目的は、このようなスローを行う状況のスピードアップにある。

【注】この規定に対する違反はプレーヤーの不正交代に相当し、2分間退場が適用される。

 2. 競技の中断に際して、タイムキーパーに時計を止める権限を与えること

通常のケースとしてはチームタイムアウトや不正交代の場合であるが、タイムキーパー(またはTD)が笛を吹いたとき、レフェリーの合図や確認を待たずに、公示時計を笛と同時に止めなければならない。本規定の目的は、オフィシャル席の笛が鳴った後はいかなるプレーも無効であるにもかかわらず、その合図がレフェリーに聞こえなかったために時計が動いたままになっているという状況を避けることにある。

 3. プレーヤーを14名に増員すること

IHF主催の大会や多くの国々での実情を考慮して、1チームのプレーヤーの最大数を12名から14名に増やすことにする。

 4. 記録用紙へのプレーヤーの未記入が判明した場合の適切な罰則

従来の競技規則では、記録用紙に記入されていないプレーヤーがコートに入場した場合は失格となっていた。チーム管理上のミスに対して、より理にかなった罰則を事実上の管理責任者に適用するため、このようなケースに際してはスポーツマンシップに反する行為としてチーム責任者に段階罰を適用するよう、条文に記載する予定である。同様に、提出したメンバー表に記載(試合登録)したチーム役員とプレーヤーしか交代地域に入ることができない、という規定を順守できなかった場合も、チーム責任者に段階罰を適用する。

 5. ピアスの禁止

ピアスを「危険なもの」とみなすかどうかについて、関心が高まってきた。他のプレーヤーを危険にさらすようなピアス、つまり「口の中やユニホームの下」に隠されていないピアスが問題なのである。突起のない指輪(フラットリング)や小さなイアリングの場合と同様に、外から見えるピアスについては、安全にテープで覆った場合に限り認められうる。

【注】口の中のピアスは許される。

 6. タイミングが悪ければ、「軽微な」プッシングであっても危険行為となる場合

失格となる危険行為に関して、条文では明らかに力ずくで粗暴な行為を中心に記載されている。しかし、(ジャンプしている、走っている、相手が見えなくて受身の態勢が取れない、というように)相手が無防備の状態であれば、与えた衝撃が相対的に小さくても、極めて危険な行為となる可能性がある。この内容を注釈として加筆する予定である。

 7. 各種スロー間の不一致を訂正

フリースロー、7 mスロー、スローイン、スローオフの場合に、スローを行ったプレーヤーは相手のゴールから跳ね返ってきたボールに再び触れることが許される、と条文に明記されている。ゴールキーパースローについては条文に明記されていなかったが、ゴールキーパースローについても同様の扱いとする。

 8. ボールが天井に当たった後の競技再開方法は、フリースローではなくスローイン

2001年に競技規則を変更し、ボールが天井に当たった後はフリースローで競技を再開することにした。この変更により、偶然にも不当に有利な位置から競技を再開することになる可能性が指摘されるようになった。したがって、フリースローではなく、ボールが天井に当たった場所から近い方のサイドライン上の最も近い地点よりスローインで競技を再開する。

 9. ゴールエリア内における違反の後は、ゴールキーパースローで競技を再開

攻撃側プレーヤーがゴールエリアに侵入し(あるいはゴールエリアの床についているボールに触れ)、相手チームにフリースローが与えられた場合、競技再開の遅れやスロー位置の修正といった、つまらない状況が生じている。つまり、ゴールキーパーがゴールエリア内でボールを所持している状況はよくあるのに、フリースローを行うためにゴールエリア際の特定位置(ポイント)に移動しなければならない、という状況である。単純化を目的として、ゴールエリアへの侵入というような違反に対してはゴールキーパースローで競技を再開することにする。すなわち、ゴールキーパーがゴールエリア内の任意の位置からスローを行うのである。

【注】前回の文書資料(1)で「ゴールキーパーはゴールエリア内からフリースローを行う」となっていたが、第2報で「ゴールキーパースローにより競技を再開する」と改められた。これにより、従来の方法(コートプレーヤーやゴールキーパーがゴールエリア際のポイントからスローを行って競技を再開すること)は認められないことが明らかになった。

10. 休憩時間中の違反に対しても、競技時間中と同じ方法で段階的に罰則を適用

何年も前のことになるが、コート外での違反に対して2分間退場を適用できるように競技規則を変更した。しかしそのときは、休憩時間中の違反に対しても2分間退場(および追放)を適用できるよう変更すべきである、という首尾一貫した考え方まで及ばなかった。だから、現行の競技規則では、警告となった後に違反した場合、あまり好ましくないと思われる失格が適用される、というシステムのままなのである。

11. 7 mスローの判定に際しては、状況を判断してタイムアウトを宣告

7 mスローを判定したとき、レフェリーはタイムアウトを必ずしも取る必要がなくなる。その代わりにレフェリーは自分で状況を判断し、7 mスローの実施前に実質的な遅れが生じる場合と、時間のロスによって一方のチームが不当に不利益を被る場合に限って、タイムアウトを取ることになる。