<機関誌2001年7月号巻頭言>


「スポーツ振興基本計画を」をうけて



         (財)日本ハンドボール協会常務理事   市原 則之
           (日本ハンドボールリーグ機構会長)
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 平成10年4月より日本協会の専務理事を仰せつかり、あっという間に3年間が
過ぎました。この間、文部科学省からの補助金やスポーツ振興基金からの助成金
の不適切な運用により、ハンドボール界の信用を著しく失墜させ、任期途中で専
務理事職の交代を余儀なくし、日本協会執行部や事務局内に多くの混乱を招いた
責任は重く、心からお詫び申し上げるところです。そうした中、日本協会執行部
が将来のハンドボール界の発展を見据えて策定した、(1) がんばれ10万人会
(2) ナショナルトレーニングシステム(NTS) (3) 普及特別対策 (4) アテ
ネオリンピック特別強化。以上の4項目にわたる短中長期施策に、ご理解と多大
なるご支援を頂いておりますことは、大変有難く心から感謝いたしております。
同時に、この施策を引き継ぐ大西専務理事をヘッドにする新体制執行部にも、旧
来に増してのご支援とご指導を賜りますよう、お願い申し上げる次第であります。

 さて、我が国の長引く経済不況は社会の大きな変革を求めております。今まで
の培われた規範は、時代の要請に応えられなくなってまいりました。我々のスポ
ーツ界においても例外でなく、従来までの学校スポーツや企業スポーツ主導の考
え方は最早社会ニーズにあわず、様々な改革を必要とされております。

 こうしたスポーツ環境の変化する中、旧文部省は昨年9月13日に「スポーツ振
興基本計画」を告示しました。この「スポーツ振興基本計画」は、国が今後目指
すスポーツ振興の基本的方向を示し、各地方や団体がそれぞれの実情に即した形
のスポーツ振興計画を策定して推進するように指導しています。その主要な政策
課題は大きく3つの柱に分けられ、第1番目に「生涯スポーツ社会に向けた、地
域におけるスポーツ環境の整備充実方策」、第2番目が「我が国の国際競技力の
結合的な向上方策」、そして第3番目に「生涯スポーツ及び競技スポーツと学校
体育・スポーツとの連携を推進するための方策」を掲げています。

 以上の3つの重要方策にはそれぞれに幾多の政策目標が設定され、しかも目標
達成を10年間と定めて具体的施策まで盛り込まれております。

 この方策を推進・達成させるには莫大な財源が必要となりますが、この背景に
は「スポーツ振興投票くじ」(toto)制度の制定があり、いよいよ本年度より実
施に移され来年度からその収益金が地方自治体や各スポーツ団体に配分されます。
しかし、各競技団体はこの配分金だけでは全ての事業を達成させることはおそら
く不可能で、今まで以上に組織が一丸となって自主財源の確保に奔走しなければ
ならないと思います。

 これからは、従来見受けられた「学校閥や組織論理」或いは「企業のエゴ」な
どは最早通用せず、逆に早く脱却しないと社会から受け入れられなくなるでしょ
う。

 今般の「スポーツ振興基本計画」の告示を真撃に受け止めて、ハンドボール界
全体が意識を変え「自助・自在」の精神によってハンドボール競技の振興を図っ
て参らなければなりません。不肖私も、多くの子供達に夢と希望を与え、同時に、
ひたむきに生きる国民にも活力が与えられる「スポーツ文化の構築」に向かって
微力ながらも努力して参ります。


    (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」7月号より転載