<機関誌2003年10月号巻頭言>


さらなる普及・発展を目指して



         (財)日本ハンドボール協会常務理事  角 紘昭

kantogen-0310


 比較的低温と言われたこの夏も、シーズン真っ盛りのハンドボール界では暑い夏
を過ごされた選手諸君や関係者の方も多かったと思います。その中でも普及・指導
部が担当している、マスターズ大会、ビーチハンドボール、小中学生の全国大会や
ブロック大会、学校体育ハンドボール研究集会等々盛況で終わることが出来ました。
関係者の方々のご努力のおかげと感謝申し上げます。特に、小学生、中学校の大会
は、ハンドボールというスポーツ文化を次世代に伝え、発展させてゆく大切な場面
だと考えています。

 その視点でこれらの大会を見てみますと、
  ◎	訓練された選手としての能力・技術は個々の身体的な発達に合っているか
  ◎	ゲーム展開に関する選手個々の理解は十分なされているか
  ◎	ゲームの中で下される判定は選手を十分納得させているか
  ◎	大会参加の態度の訓練は・・・
  ◎ 指導者としての態度は、指示は・・・
などの点を、指導者として、ハンドボール関係者として今一度振り返ってみる必要
があると感じました。

 今回、普及・指導部として機会をいただきましたので、ここで、普及指導事業の
一部を紹介いたします。

 昨年から始まりました公認J級指導員養成講座は、各県協会のご理解を得て本年
度も順調に開催されています。この2年間で約700名の公認J級指導員が誕生す
ることになります。日頃、子どもたちを直接指導されておられる数多くの方が、そ
の熱意を表すものを求めておられたということだと捉えております。この資格は6
時間という短期間で取得可能となっていますが、公認J級指導員規程のねらいにも
ありますように、資格取得後、常日頃の研修を努力義務として求めております。

 具体的には、(1) 県協会が主催する実技・指導者研修会、(2) 中学校体育連盟
(ハンドボール部)等が主催する実技・指導者研修会、(3) NTS各トレーニング、
(4) 日本協会が主催する各種講習会、シンポジューム等々への参加による研修が考
えられます。この際には手帳に記録として留め、主催者の証明を得ておくことが必
要です。事務的な手続きではありますが、せっかくの熱意を何らかの形として残す
ためにも必要なことと思います。

 普及として、その他には小学校の授業実践の中で、「ゲーム、ボール運動」の教
材としてのハンドボールの有効性をアピールしようとしています。特に学校関係者
の方は、この面でも研究集会への参加や、実践研究報告を寄せていただきたいと思
っています。

 また、ブロックを中心とした小学生チームの交流大会の促進も進めています。こ
れらの交流大会への参加が年々盛んになってくると、ややもすると参加チーム数を
制限する傾向が見られます。小学生時期はできる限り自由に参加させ、多くのゲー
ムに触れさせることが必要かと思います。規模が大きくなれば、さらに細かく分け
て実施する等の工夫も必要です。

 15歳以下の普及については、これまでは中学校に全て任せてきたのが現状です。
ところが、近年、中学校のハンド-ボールチームの減少が目立ってきました。日本
中学校体育連盟では2校にまたがる合同チームでの参加や外部コーチ導入を認め、
活動の活性化を図る工夫をしています。日本協会としましても、学校単位での活動
への援助と共に、学校のワクでつかみ切れない部分を「U-15(15歳以下)」というカ
テゴリーで考え「U-15ブロック大会」を進めながらこの年代層での普及を図ろうと
考えています。


    (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」10月号より転載