<機関誌2004年12月号巻頭言>


学生ハンドボール界の課題と発展



        (財)日本ハンドボール協会理事/全日本学生ハンドボール連盟理事長
                                福地 賢介 

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 世界学生選手権大会(FISU)は、2年に一度開催される。今回は、6月開催予定の女子
大会が、ブルガリアの事情から開催地の変更を余儀なくされ、男子開催予定のロシアが女
子開催も引き受け、初めての男女同時開催(男子第17回・女子第6回)となった。

 参加選手は、男女共に各地区学連及び強化委員会、各インカレなどからリストアップさ
れ、書類選考後、選考会及び数次の強化合宿を経て最終選考された。これに、全日本スタ
ッフと協議し、将来全日本に繋がる可能性があり、国際経験もある男子2名・女子1名の
実業団所属選手(FISU規程により卒業後1年、28才までの選手は参加資格がある)を加え
た。国際試合の経験の少ない今回のチームを補い強化を図り、男女共に欧州勢の壁を打破
し、ベスト4入りを目指している。

 今回、男子は松井氏の全日本監督就任により、ユーゴ・ポルトガル両大会でコーチを務
めた田村コーチが昇格、女子も水上氏の女子強化部委員長就任に伴い、ブルガリア大会で
コーチを務めた池田監督が就任、夫々が世界学生初采配となり注目される。

 世界学生への参加は、学生界全体及びU-19・U-23のレベルアップ、将来U-19・U-23
の強化が上に繋がり得るスタッフの育成も大きな目的である。更に、普及に繋がる大学指
導者の育成という課題もあり、日本協会と協力して取り組んでいきたいと思っている。

 U-19→U-23→全日本というレールが敷設され、世界学生対象のU-19・U-23の強化が
上へ繋がり、全日本の北京ロードへの一助になればと考える。都道府県協会の普及への取
組で、ちびっ子・NTS関係も整備されつつある。各世代の将来目標が、日本リーグ・全
日本選手という様に繋がる魅力あるハンドボール界の為に学生界も協力できると思ってい
る。

 学連としては、現在、各地区学連加盟大学の部員の減少傾向が窺え、普及と共に現象歯
止めにも注力している。既に、各地区学連では、部員不足でリーグ参加できない大学の為
に複数大学の合併チームの参加を認めたり、テスト加盟の形でリーグを経験する準加盟を
認めている。今後は、従来のリーグのみでなく、同好会や、未加盟ながらチームが結成さ
れている大学(医歯薬リーグ他)の動向を把握し、そのチームにも門戸を開放、従来の加
盟大学のみでなく、同好会も交えたオープン大会等も検討中である。

 日本協会の実業団・クラブ・その他を包括した社会人構想に、大学の同好会や愛好会の
加盟などから、登録チームの確保、10万人会を含めた個人登録の増加にも協力していきた
いと思っている。10万人会活動を通して、OB・OGの現場回帰(リーグ観戦・イベント参加
他)へと繋げていきたい。また、同会への加入促進に繋げ、更に、加盟大学選手の親族・
友人知人の4年間という期間のみでなく、日本リーグへ如何にスライドさせることが出来
る様、今後も日本協会と歩調を合わせ、微力ながらも斯界発展の為に協力していきたいと
思っている。


    (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2004年12月号より転載