<機関誌2006年3月号巻頭言>


プロジェクト21−構造改革− を進めるにあたって



                 (財)日本ハンドボール協会専務理事   大西 武三 

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 いよいよ、来年は、北京オリンピックのアジア予選が開催される年である。今年は、是
が非でも男女ナショナルチームが予選を突破できるようその環境を整えていくことに協会
の総力を結集していきます。ご支援の程よろしくお願いします。日本ハンドボール協会で
はプロジェクト21(Pro.21)−構造改革−と銘打って日本のハンドボールが21世紀に羽ばた
くための構造改革を進めているところです。その、目標として

 1、2010年にハンドボール人口を日本で3位に
 2、オリンピックに常時出場し、メダルを獲得できる実力
 3、日本ハンドボール協会が人、物、金で自立化

を掲げ、このシステムを今年度中に完成させる計画を立てました。しかし、流動的な面が
ありやれるものから手をつけて行っているのが現状で、詳細については、別の機会に述べ
させていただきます。

 このPro.21を進めるに当たり、従来と異なる点について述べさせて頂きます。日本ハン
ドボール協会の事業は様々なものがありますが、すべて上記3つの具体的な目標、則ち、
普及、強化、自立の三本柱を個々にではなく一体のものとして進めていることです。

 日本ハンドボール界の実力を示すものとしてナショナルチームの国際舞台での活躍があ
ります。しかし、ともすればそれを実現化しようとするあまり、強化に力が傾注、普及と
いう大事な土台の部分を都道府県や連盟任せにしていたきらいがありました。ハンドボー
ル協会にとってナショナルチーム強化は常々の最大の事業であることはもちろんですが、
そのためには将来に向かって強化のための盤石の土台を作っていかなければなりません。
普及を推し進め、そこから年代別のナショナルチームヘと繋がるシステムを作っていくこ
とが必要です。

 その実行プログラムがジュニア3000プロジェクト(J3000Pro.)とNTS(ナショナルトレー
ニングシステム)です。それらを都道府県協会・連盟と連動し、粘り強く進めていくこと
が最大のポイントになります。J3000Pro.は小学生を中心としてマスターズまでの地域の
クラブチームを3000チームを作っていくことです。日本のハンドボール人口のほとんどが、
中学、高校、大学の学校教育の中での活動に支えられています。勿論、さらなる学校の活
動の充実も必要なことですが、自分の住む地域でハンドボールができるクラブの育成も生
涯ハンドボールを進めていく上で不可欠です。そのためには原動力になってくれる指導者
が必要です。ハンドボールが協会を組織して今年で約70年になります。それを可能にさせ
る人材はいるはずです。ハンドボールを経験したOB、OG更にハンドボールに関心を持つ人
が指導者となってチーム運営に携わる環境を整えなければなりません。都道府県協会、連
盟のPro.21に対する理解は深まり、徐々にその機運は高まってきており必ず出来るものと
思っております。今年度から始まった全国中学生ハンドボール大会は、クラブチームが参
加できる大会であり、各都道府県1チームが参加できることから小・中学年代の普及とク
ラブの育成に大きな意味のある大会であり、普及を進める上で大きな柱が立ったといえま
しょう。

 最後にPro.21の前提として、ハンドボール競技そのものが、国民にとって魅力があり、
社会に役立つ性質をもっていなければなりません。やっておもしろく、見て感動する競技
であり、益々魅力あるスポーツとして磨いていかなければなりません。日本で開催した講
習会でデンマークから来日したアラン・ルンド氏が言っていた、「デンマークではハンド
ボールは文化である。ハンドボールは日ごろの話題になっている」は非常に印象的でした。
その意味で日本でまさにハンドボールが文化となる日が早くきてほしいと思います。ハン
ドボールに関係のある人、あった人が今一度、ハンドボールを思い起こし、それぞれの立
場で盛り上げていくことが必要と強く感じています。


  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2006年3月号より転載