<機関誌2006年8月号巻頭言>


ヤングレフェリープロジェクト(YRP)のスタートにあたり



                (財)日本ハンドボール協会常務理事   島田 房二(審判部長)

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 夏の各種全国大会を前に、ハンドボール愛好者・チーム関係者そして主催者の皆さんは
期待に胸を弾ませているのではないでしょうか。今年度も、審判委員会では各地域で審判
講習会を開かせて頂きました。各地域とも熱心な審判員が集まり充実した講習会が開催さ
れているとの報告を受け、選手はもちろん愛好者・運営者にも心に残る大会になることを
期待しています。

 今年度の審判員の目標は、@審判に必要な身体能力の向上、Aアドバンテージルールの
遵守、Bコート上でのレフェリーの動き方と位置取り、の3点を強調しています。これら
はハンドボールの試合がスピードアップされ、ルールもそのスピードアップに対処する必
要があり、試合をよりよい状態で行うには欠かせない要素となります。全国大会に選出さ
れた審判員は、各地区からノミネートされた日本協会のトップのレフェリーですので、ル
ールブックの本質を実現できる力を発揮してくれるものと思っています。

 今年度の審判委員会の大きな変化は、@審判登録年齢の引き下げ、Aヤングレフェリー
プロジェクト(以下YRP)のスタートです。 私が審判委員長になってから、中学生が審判を
目指したいと言っている投書が何件か届いています。その時に、IHFの提唱で年齢別の
大会を同年齢の審判員が管理することを最終目標に据え、審判員を育てるべく YRPがスタ
ートするという報告があり、日本もこの主旨を踏まえYRPのスタートの準備をしています。 

 審判員の登録年齢を16歳以上とし、14歳から講習会や実技の講習を受け、指導者の下で
練習を積み、優秀者に日本協会仮公認ワッペン(グリーンワッペンの予定)を与えます。そ
して各地区の小学生大会や学年別大会・中学生大会・県大会等で実績を積み、16歳になっ
た時点で最優秀者にB級ライセンスを発行することを考えています。

 さらにAHFでは、大陸ユース・ジュニアの大会は28歳以下とし、その大会の優秀レフ
ェリーに大陸レフェリーのバッジを与える方針をたてています。

 このことは、国内で優秀な若手レフェリーを日本協会がアジア連盟に知らせていかなけ
れば、将来日本からIHFレフェリーが育たないという危惧がありますので、この計画に
尽力を注ぎ成功に繋げたいのです。大切なことは、ハンドボール指導者の審判育成に関す
る考え方の柔軟性です。

 先日、「若い子にレフェリーをさせるということは、選手として見込みがないと宣言す
るようで非常に難しい」との意見もありました。良い選手を育てるには良い審判を育てる
ことが必要で、世界の審判界も世界選手権に出ていた選手がIHFレフェリーとして活躍
をしています。一流選手が審判技術を習得しながら活躍し、年齢的に選手として活躍でき
なくなったときに、直ぐに審判で世界に飛び出せるシステムを作りたいと考えています。


  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2006年8月号より転載