<機関誌2007年1・2月号巻頭言>


奮起しろ全日本、敵は己だ



                  (財)日本ハンドボール協会副会長  市原 則之 

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 新年も早やひと月が過ぎました。全国のハンドボール愛好者の皆様には日々健やかにお
過ごしのこととお喜び申し上げます。昨年は日本協会が進める諸事業に対し、深いご理解
とご支援を賜りまして厚く御礼申しあげます。本年も倍旧のご鞭捷を賜りますよう心から
お願い申し上げます 

 さて、全国ハンドボール愛好者の期待を一身に受けて戦った神戸でのアテネ予選は、男
女共韓国に引き分けながら今一歩でオリンピック出場を逃して悔し涙で終えましたが、あ
れから早や3年の歳月が経過いたしました。その間、渡邊会長を中心とする協会執行部は、
本場ヨーロッパから代表チームの監督として、男子にリマニッチ氏、女子にバウワー氏を
招聰し、再度オリンピック出場に向け強化部門と一体となって、国内合宿から国際大会の
開催や海外遠征等、数々の強化事業を推進してきました 

 中でも、昨年11月に大阪市および大阪協会の協力により実施したジャパンカップでは、男
女とも見事優勝し、12月のドーハの第15回アジア競技大会では女子は2大会ぶりにメダル
(銅)を獲得しました。

 その強化事業の延長線上にある、男子のオリンピックアジア予選会を本年9月に豊田市
に招致出来たことは大きな成果で、とりわけ愛知県協会のご尽力に敬意を表し心から感謝
申し上げる次第であります。

 女子予選については、現在カザフスタンとの情報がアジア連盟から入っていますが、開
催地の決定は国際連盟にあり、何とか男子と併せて日本開催が出来ないものかと働きかけ
を続けているところです。

 何れにしろ前回の神戸に引き続き3回連続で、国内で予選を戦えるということは何物に
も勝る全日本チームに対する強化支援になることと思います。

 また、男女の元日本代表選手諸兄は、師走の大変多忙な12月23日の全日本総合の決勝の
前夜、多数名古屋に集結し旧交を温め、同時に現役・代表に対し熱いメッセージと共に力
強い支援を誓い合いました。

 さあ、日本代表選手諸君、環境は整った。これから戦うのは君達だ。今更、環境が如何
たら、日本協会が何たら、監督が如何たら、レフェリングが如何たらと…、泣き言や言い
訳を言ってる暇はない。

 ガムを噛みながらのパフォーマンスプレーで観客受けを狙う日本リーグと国際試合は雲
泥の差。国対国の戦いは命懸けだ。命を懸けて勝ち切る勇気を持て。

 予選までの8ヶ月間、心を磨いて精神を鍛えろ。

 その心掛けは、日本古来からの伝統的思想文化である武士道の精神だ。「武士の三徳」
智と仁と勇を磨け。智とは、人の話をよく聞くこと。仁とは、人のために尽くすこと。勇
とは、歯を食いしばり我慢をすること。

 これこそチームプレーの精神だ。心中に智仁勇を培い代表選手としての、恥を知り、誇り
を持ち、我慢しろ。

 この精神で先輩の代表選手諸兄は、日の丸の重みを背中に背負って、幾多の逆境を乗り
越えて戦い、勝ち抜いてきたのだ。

 誰に勝つのでもない。己の心に勝ち切るのだ。

 ドーハのアジア大会 905名の日本選手団の総監督を務める中、日本代表ハンドボールチ
ームの戦いぶりをつぶさに見て、敢えて、君達に撒を与える。

 何としてもオリンピックという大舞台に立つんだ。そして、ハンドボールというスポー
ツを敢えて選んでくれた全国の子供達にも、大きな夢を与えるのだ。絶対にオリンピック
に出るんだ。 

 全国のハンドボール愛好者の皆様、彼らに対し絶大なるご声援とご支援をお願い申し上
げます。


  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2007年1・2月合併号より転載