<機関誌2007年8月号巻頭言>


北京オリンピックアジア予選に挑む!



          (財)日本ハンドボール協会常務理事・強化本部長  蒲生 晴明 

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 神戸で開催されたアテネオリンピックアジア予選から、4年が経過した。男子は、韓国
に対してあと1点で泣いた思い(結果:引き分け、得失点差で出場権獲得できず)がある。
我々を含めてハンドボールファンには、あの悔しさが強烈に焼きついていることと思われ
る。女子も、韓国に引き分け、中国・カザフスタンに僅差での負けと非常に惜しい戦いで、
これまた悔しい思いであった。

 そのアジア予選が、いよいよ女子が8月25曰〜カザフスタンで韓国・カザフスタン・
カタール・日本の4カ国が参加して始まり、引き続き男子が9月1日から豊田市で韓国・
クウェート・カタール・UAE・日本の5カ国で開催される。男女ともに優勝チームが、
北京オリンピックの出場権を獲得する。また、2位の場合は北京オリンピック世界最終予
選(女子:2008年3月末,男子:5月末)出場となり、12ヵ国が3グループに分かれ各グ
ループのリーグ戦の結果、上位2チームに北京オリンピック出場権が与えられる。ただし、
女子は12月の世界選手権の結果によって追加変更になる可能性がある。

 この大会に挑む男子日本代表は、イヴィツァ・リマニッチ監督の下、そのトレーニング
は大変厳しい内容であり、選手には妥協を許さない指導と情熱は素晴らしいものがある。
1年前からトレーニング試合を含めて年間30試合以上を計画的に実施してきている。チ
ームの成長は、色々な面で確認できているので、残すところは「何が何でも勝つんだ!」
という強い精神力と応援している人を巻き込む「魂のパフォーマンス」にかかっている。
幸い、地元の地の利を生かして戦えることは心強いものとなる。会場を「チャンピオンブ
ルー」で埋め、選手達を奮い立たせたいと思うので、ご支援願いたい。

 女子日本代表は、ベルト・バウワー監督の下、一昨年のロシア世界選手権を経てアジア
大会で「銅メダル」を獲得して戦略的にビルドアップしてきている。昨年から若手選手の
成長が著しくチームとしてリフレッシュしながら、海外で活躍している選手の成長と安定
感で選手起用や戦術の組み立てにバリエーションが広がっている。6月のヨーロッパ遠征
では、選手全員を起用してチーム戦略の確認ができたと手応えもあり、7月のヒロシマ国
際大会と安東国際大会(韓国)を経て、8月には国内で充分な準備をしてカザフスタンに
乗り込む。そういった意味で、敵地での戦いにおいて海外で活躍する選手達がいることは、
非常に心強くチームの柱として期待ができる。

 日本ハンドボール協会では、アジア予選に国際ハンドボール連盟(IHF)の幹部を招
待する。アジアハンドボール連盟は、中東vs極東の構図が露呈することが考えられるので、
IHF役員の列席は、アジア予選には必要不可欠である。カザフスタンにも、IHF役員
が監視に出向くように働きかけている。とにかく、4年間の強化をフェアに力を出し切っ
て勝負したいと考える。

 このアジア予選までに、従来から日本代表チームの強化に尽力いただいた強化関係スタ
ッフそして役員の皆様に感謝するとともに、ご支援いただいた全国のハンドボール関係の
方々にぜひとも会場に駆けつけていただき、厚い声援、強力な応援をしていただけるよう
にお願いしたい。


  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2007年8月号より転載