<機関誌2010年10月号巻頭言>


「人生で最初に出会う競技スポーツ
   −ハンドボールも選択肢の1つに−」



          (財)日本ハンドボール協会参事・小学生委員会委員長 山本 繁 


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 日本の子供達が『人生で最初に出会う競技スポーツ」は、何でしょうか?

 やっぱり野球? 今はサッカー? 幼児からのスイミング? 私が小学生の頃は、これ
に相撲が加わるでしょうか。いや、でも学校ならやっぱりドッジボール。体育では、3、
4年生からサッカー、バスケットボール、ハンドベースボール、ソフトバレーボール…。
テレビをつければ、野球、サッカー、バレーボール、ラグビー、水泳、相撲…。子供達が、
「やりたい!」と思うスポーツは、これらでしょうか?

 いやいや、ぜひその中にハンドボールも加えましょう。我々ハンドボールに関わる小学
校教員やスポーツ少年団指導者がめざすべきは、『人生で最初に出会う競技スポーツ』の
選択肢の中に、ハンドボールを加えること。そして、「その中でも、ハンドボールが一番
おもしろいよね!」と言わせることです。実際、小学校低学・中学年にハンドボール(的
なボールゲーム)をさせれば、すぐに納得! ほとんどの子供は喜びますし、すぐにゲー
ムに馴染んで活躍し出します。本当に子供にぴったりのポールゲームなのです。また運動
発達の面からも、ハンドボールは「走・跳・投」の基本動作が備わったスポーツであり、
自由度が大きく多様な動きが養われるので、ハンドボールで培った能力は、他のスポーツ
にも転化しやすいのです。ハンドボールは、「子供達に自慢すべきスポーツ」、「自信を
持ってお奨めするスポーツ」なのです。当然、小学生のうちはいろいろなスポーツを経験
する方が望ましいのですが、このようなハンドボールの魅力を全国の小学生に広め、他の
スポーツ同様選択肢として肩を並べたいものです。これが、小学生委員会の普及の仕事で
しょう。

 一方、「全国小学生ハンドボール大会」は、今年で23回目となりました。各都道府県大
会を勝ち抜いた代表チームが男女合わせて59チーム集まり、予選リーグ、決勝トーナメン
トで熱戦を繰り広げました。これまでにこの大会を経験し、その後、中学・高校で活躍す
る選手が数多くいます。近年の全国中学校大会やインターハイ等で勝ち上がっているチー
ムには、必ずと言っていいほど、小学生からの経験者がいます。小学生で身に付けたステ
ップワークやボールセンス、ゲームセンス、体力・運動能力が、大いに役立っているもの
と信じております。少年ハンドボール指導者の日々の指導に敬意を表します。

 今年度、小学生委員会では、「少年チームの運営活性化」を基本方針として活動してお
ります。全国には、日本協会登録チームが340チーム余り。1,100名ほどの指導者が小学生
にハンドボールを教えています。また、半数以上のチームが、1年生から入会させ丁寧に
面倒を見ているようです。この少子化の日本にあって、チーム数や部員数の現状維持が難
しい中、ハンドボールでは現状維持かやや微増をキープしており、指導者の皆さんのご苦
労の跡が感じられます。このように、日本のハンドボールの底辺(現場)は、全国各地で
ハンドボールを愛するボランティアの皆さんの努力の下で、『人生で最初に出会う競技ス
ポーツ』にハンドボールを選んで、日々ハンドボールを楽しんでいます。我々小学生委員
会は、このようなチームや指導者の方々の頑張りに応えられるように、チーム運営の手助
けになるよう情報交換をしながら環境整備等に努めております。

 また、7年前からは、指導委員会、NTSとも連携を図りU-12講習会を開催し、指導体系
の一環システムにも関わってまいりました。ガイドブックも2種類作成し、全国の少年チ
ームに配付してきました。その成果は、子供達のプレーの向上に表れてきています。

 さらに、昨年からは、「日韓小学生親善交流事業」もスタートしました。昨年は韓国チ
ームが来日し、全国大会を見学し、その参加チームや富山県の小中学生と練習試合や合同
練習(親善交流)をしました。今年は、8月下旬に京都府(男子)と富山県(女子)が訪
韓し、河南市で親善交流を行いました。(詳細は別な機会で)

 このように、小学生委員会では、普及と指導の両面において活性化と活動内容の充実を
図っております。今後も、各ブロック9名と協会担当者4名の小学生委員で、全国の現状
を正確に把握し、成果と課題を明らかにし、普及と指導に当たってまいります。ご理解と
ご支援をよろしくお願いいたします。



  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2010年10月号より転載