<機関誌2010年12月号巻頭言>


「全日本社会人ハンドボール連盟設立を契機に」



                (財)日本ハンドボール協会常務理事     江成 元伸 


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 平成22年4月、全日本社会人ハンドボール連盟(以下、社会人連盟という。)は下記の
事項を目的として設立しました。(1)全日本社会人ハンドボール競技団体を統括し、相
互の親睦を図り、技術の向上と社会人ハンドボールの健全な普及発展を目的とする。
(2)(財)日本ハンドボール協会の組織団体として緊密な関連を保ち、斯界の興隆に寄与
し、国内の各社会人競技団体と連絡を密にし、社会人スポーツの発展を図る。(3)国内
外のハンドボール団体との交流及び国際間の親善を図る。

 社会人連盟が発足し、既存の各連盟を除いたすべてのチームを「社会人連盟傘下のクラ
ブ」と位置づけ、社会人連盟の組織を設立・編成し、各登録区分・各大会の運営を連携さ
せて組織を編成します。

 社会人連盟内における組織は、大会別に編成する計画をしています。「社会人委員会」
は、平成22年度中に実連を発展的に解消して組織名変更を御願いすることとし、社会人選
手権(現実業団選手権)の出場チームの活動及び大会組織を統轄します。「ジャパンオー
プン委員会」はジャパンオープン選手権大会の出場チームの活動及び大会組織を統轄しま
す。委員会構成メンバーは、今年ジャパンオープンを開催した山口県協会、今後ジャパン
オープンを開催する各協会とします。「クラブ委員会」は全国クラブ選手権大会・東地区
大会、西地区大会の出場チームの活動及び大会組織を統轄します。委員会構成メンバーは、
東地区開催地の福島県協会、西地区大会(過去は持ち回り開催)を今年開催した協会、今
後西地区大会を開催する予定の各府県協会とします。「都道府県委員会」は、各都道府県
で開催されている「リージョナル」区分の大会(名称は各都道府県で不統一)に出場チー
ムの活動及び大会組織の代表者とします。

 平成23年度のハンドボール活動の今までとの違いは、登録区分が変わることだけです。
社会人連盟という設定が増えるだけで、基本的には今年度と変わりません。登録金も社会
人連盟が設立したことによる値上げは考えておらず、将来的にも、従来の登録金の中での
組換えで対応していきたいと考えています。

 今回の社会人連盟設立の大きな狙いは従来組織として一本化されていなかった、いわゆる
「クラブチーム」の再編成にあります。現在の実連のチームもリージョナルのチームも同
じ「クラブ」の位置づけと整理します。この連盟設立により小学生、中学生チームを除き、
日本協会に登録しているすべてのチームは、加盟団体である各都道府県協会及び連盟に所
属することになりました。今後は社会人連盟の各委員会の機能的活動内容等を充実させ、
各委員会に所属する大会を盛り上げるための方策を構築していきたいと思っています。

 一方、この連盟はあくまでも日本協会に登録しているチーム、選手を統括していますが、
現在日本協会の大きな問題となっている登録人口の拡大という命題からすると、全国で日
本協会に登録しないで活動している大会、チーム、選手を日本協会に登録していただくよ
うに働きかける方策も包含しています。この記事が掲載される機関誌は、本協会に登録し
ているチームに登録料の一部として配布されています。近年は、巻頭言は日本協会のホー
ムページにも配信されています。日本協会に登録されていない方々もこの記事をごらんい
ただき、状況をご理解いただくとともに、ぜひ日本協会に登録していただき、あらゆる人
が「ハンドボール」を私たちのスポーツとして共有していくように働きかけていきたいと
考えています。

 ご承知の通り、日本協会は私たちの楽しみとしての「ハンドボール」を広めようとする
「普及」、より強くそして世界の頂点をめざそうとする「強化」を二大車輪として事業を
行っています。普及という意味からは選手第一と考え、大会をひとつでも多く、試合数を
ひとつでも多く設定したいと考えています。また、強化という意味からは楽しみの試合・
大会から少しでも強くなりたいという試合・大会への発展も考えています。現在10万人を
超えたハンドボール人口を20万人、30万人へと拡大していくためにも、多くの方々のご理
解を得まして、社会人連盟が発展するようご支援、ご協力をお願いいたします。



  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」2010年12月号より転載