<ナショナルトレーニングシステム(一貫指導システム)実施する意義>


                            NTS運営委員長 蒲生晴明

前月号には、ナショナルトレーニングシステム(以下NTS)新設について、
その趣旨・実施システムなどを述べましたが、今回は実施に当たっての「その
背景・現状から予想される効果」など述べたいと思います。

日本チームの現状

・男子ナショナルオリンピックアジア予選3位(シドニー出場ならず)
・男子ナショナルアジア大会3位
・女子ナショナルオリンピックアジア予選3位(シドニー出場ならず)
・女子ナショナルアジア大会3位
・男子U−23世界学生第7位
・女子U−23世界学生第10位
・男子U−19アジア・リーグ敗退
・女子U−19アジア第4位
     

問 題 点

・国際試合であがる
・イージーミスが多い
・レフェリーの判定に戸惑う
・チーム数の減少=競技者の減少
・指導者の減少
 → 

原  因

・基本が不安定
・統一された一貫指導システムがない
・自チームを優先した目標と指導
・国際経験不足
・指導者養成の立ち遅れ
・ハンドボールの認知度低位
・日本協会からの情報伝達ルートの目詰まり
     

コンセプト(本当の気持ち)

    このままではオリンピックに出られない?    

改善の目的

  1 考え方の統一  
  2 意識改革  
  3 情報の共有  
  4 環境整備  
 → 

目  標

1 世界で戦う競技者の育成
2 指導者の資質向上
3 情報収集・分析・公開
4 能力開発システム(競技者・指導者)
5 関係者のエネルギーを同一ベクトルにする
6 セカンドキャリアの充実
  

期 待 効 果

1 全国で同じ考え方の指導が行われる。
2 常に世界を見据えた指導・プレーが生まれる。
3 日本独自のハンドボールが作れる。
4 全員が参加するので、各段階の交流が図れる。
5 毎年優秀な人材が確保できる。
6 社会におけるハンドボールの評価が高まる。
7 日本型システムとして世界や各競技団体が注目する。
8 世界を目標にするジュニア層が増える。
9 選手は安心してじっくり競技力向上が出来る。
10 選手が具体的目標が持てる。
  

予測される障害

1 学力・進学との関係
2 指導者の非協力
3 指導者のエゴ
4 所属チームの理解度
5 地域による格差
6 財政不足に対する不満
7 NTS指導者のマンネリ    
 

 

その対応策

1 学習時間の確保
2 意見交換会
3 巡回指導
4 個別説明
5 財源確保
6 モデルケース作り
7 指導者研修会         
  

 基 本 理 念 


      全員参加のハンドボール文化の構築      

 

 

 具体的行動 


     ナショナルトレーニングシステム構築実行     


効 果 測 定

1 共通の個人技術を保有しているか
2 ミスの発生率
3 新たな個人・グループ・チーム戦術
4 指導者の参加数
5 体力・スキルテスト値
6 ハンドボール人口(がんばれ10万人会)
   7 定着率
8 U-19世界大会出場
9 U-23世界大会上位入賞
10 ナショナルオリンピック・WC出場   
11 指導者資格者数
12 マスコミ露出度



 以上のような考え方の上に立ちNTSを実行に移していきます。しかしなが
ら、予想外のことなどが起こること、色々な問題・課題が多くあるという認識
を持ちながら、参加協力していただくとみなさまとともにより良いシステムに
していく考えでおります。したがって、運営についての忌憚のない意見交流を
実施していただき、それぞれの立場でスムーズな流れを構築していっていただ
きたいと思っております。

 いずれにしましても、2000年4月からのスタートを切ったばかりです。ハン
ドボール界全員参加でこのシステムを構築して、将来の子供たちに「夢」を持
ってもらいましょう!

 21世紀には、日本のハンドボールが世界大会での「常連国」になるように!



  (財)日本ハンドボール協会機関誌「ハンドボール」6月号より転載