第25回IHF女子ジュニア(U-20)ハンドボール世界選手権で、
7位という史上最高の順位を勝ち取った女子ジュニア日本代表が、
7月6日、開催地の
中国から帰国しました。
本場
ヨーロッパ勢と互角に渡り合ったことで得た自信、そして、目標としていたメダル獲得に近づいたものの、つかみ取れずに終わった悔しさとともに、日本に戻った選手たち。
ここでは、これからのハンドボール界に、確かな希望を感じさせてくれた選手たちの戦いを振り返ります。
初の予選ラウンド1位通過
日本の入った予選ラウンド・グループHは、2025年女子U-19ヨーロッパ選手権8位の
クロアチア、同14位の
ノルウェー、同20位の
フェロー諸島と、本場
ヨーロッパ勢が集結。
メダル獲得という目標を掲げ、その手ごたえも十分だったとはいえ、1つ歯車が狂えば、予選ラウンドで敗退してもおかしくない、厳しいグループでした。
初戦の
フェロー諸島戦、足を止めない運動量あふれるディフェンスでリズムをつかみ、先手を取った日本は、グングンとリードを広げ、
32ー22と10点差をつけて
快勝。
初戦勝利の勢いをふくらませ、
ノルウェーに対しても前半のリードを守り切る形で
26ー24で競り勝ち2連勝。
この時点で最終戦の
クロアチア戦に敗れても日本を上回れるチームはなくなり、女子ジュニア代表史上初の予選ラウンド
1位通過を決めました。
ノルウェーを破り、予選ラウンド1位通過を決めて満面の笑みの選手たちメインラウンドもトップで駆け抜ける
予選ラウンド最終戦・
クロアチア戦で
23ー26と敗れた悪い流れを振り払いきれなかったことに加え、対日本の戦い方を研究されたメインラウンド第1戦の
ハンガリー戦は、
25ー32と7点ビハインドでの敗戦。
ハンガリーに敗れたことで、第2戦・
ポーランドに勝利できなければ、決勝トーナメント(準々決勝)への道を閉ざされるという状況に追い込まれました。
それでも、今回の日本チームは、この正念場から再び勢いづきます。
粘り強いディフェンスで
ポーランドの勢いを止めて先行。
後半の苦しい時間帯も懸命にしのいでリードをキープし、
22ー18で
ポーランドを破りました。
同じグループHから勝ち上がった
ノルウェーが
ポーランド、
ハンガリーに連勝したことで、
ノルウェーと2勝1敗で並び、予選ラウンドでノルウェーに勝利していたため、当該チーム間の対戦成績で上回り、日本はメインラウンド4組でも
1位となりました。
予選ラウンド、メインラウンドを1位通過して、決勝トーナメントに進出したのも史上初のことでした。
ポーランド戦に勝利して歓喜を分かち合う目標のメダルに迫る
決勝トーナメント・準々決勝の相手は、2025年女子U-19ヨーロッパ選手権2位の
スペイン。
2年前の第11回女子U-18(ユース)世界選手権でも準決勝で対戦し、
23ー32と敗れた手ごわい相手です(
スペインはこの大会で優勝)。
前半、早い段階で高さ、パワーを活かして向かってくる
スペインに流れをつかまれかけましたが、そこから立て直し、互角の戦いに。
後半、スペインに2度の4連続得点を許し、突き放されかけても食らいつき、望みをつなぎ続けましたが、残り11秒、32ー33の1点ビハインドからダメ押しゴールを奪われて力尽きました(33ー34での敗戦)。
この時点でメダルの夢はついえましたが、女子ユース世界選手権でスペインに9点差で敗れた2年前からの成長、世界でもトップクラスの地力を実証できた試合になりました。
スペインの高く、厚い壁に挑むも1点及ばず(写真は北和香奈選手)歴代最高順位をつかみ取る
5ー8位決定戦で対戦した
セルビアも、2年前、同じ5ー8位決定戦で戦い、
20ー21と敗れた因縁の相手。
この試合に勝てば、5位または6位と、歴代最高の順位が確定するとあって、意気込みあふれましたが、試合は終盤までもつれたものの、
27ー29で惜敗。
この結果、大会を締めくくる
ノルウェーとの7位決定戦が、歴代最高の順位を勝ち取れるのか、それとも、歴代最高タイの順位となるのかの、大一番となりました。
予選ラウンドで勝利した
ノルウェーに前半
15ー16と1点ビハインドでの折り返し。
ここまでの7試合のうち、勝利した3試合は前半をリードしての折り返しで、敗れた4試合は前半でリードを許しての折り返しだっただけに、その流れから抜け出せるかどうかが焦点となりました。
敗れた4試合での教訓も活かした日本は、早い時間帯で同点、逆転に成功すると、そこからは日本の足をフルに活かしたディフェンスが機能し、
32ー27と終盤、
ノルウェーを突き放しての勝利。
史上最高の
7位を勝ち取りました。
ノルウェーの挑戦を退け、7位を決めた直後の選手たち本場ヨーロッパ勢と互角に渡り合う
日本は今大会の8試合すべてで本場
ヨーロッパ勢と対戦。4勝4敗、敗れた試合も3点差以内の僅差での敗戦が3試合と、互角に戦い抜きました。
このカテゴリーの世界選手権では歴代最高、他のカテゴリーも含めての世界選手権では歴代最高タイの
7位。
代表チームの将来を占うと言われるこの大会で、大きな一歩を記しました。
1人ひとりが主役となっての戦い
予選ラウンド、メインラウンドともに1位で通過したことも特筆されます。
通算37得点をマークし、得点ランキング22位となった
佐茂春陽選手(筑波大学)がチーム最高得点。
勝利した4試合すべてでPlayer of the Matchに選ばれ、ファインセーブを連発した
尾崎羽南選手(大阪体育大学)もセーブ率では全体の24位(シュート阻止数71/被シュート数219、セーブ率32.4%)と、個人成績で突出した選手こそいませんでしたが、場面ごとにそれぞれが存在感を発揮し、一丸となって戦い抜きました。
これから
新井翔太監督、選手たちは、以下のコメントにもあるように、
7位という結果に満足したり、手放しで喜んでいるわけではありません。
敗れた4試合の中にも勝てた試合がいくつもあった。
とくに、1点差で敗れた
スペイン戦を勝っていれば、ベスト4入り、目標のメダルに近づいたのに、という悔しさにあふれています。
僅差の勝負を勝ち切るために、どうしたらいいか。
世界の大型選手に対抗できるフィジカル強化は不可欠です。
その土台の上で、日本人選手同士の戦いでは体感できない、世界の選手たちの手足の長さに対応し、1つでもミスを減らしていくことが求められます。
世界の国々には、すでにプロ選手として活躍している選手も多く、当然、世界も進化していきます。
選手1人ひとりが現時点での悔しさ、感覚を忘れることなく、おりひめジャパンの一員へと成長していくことが期待されます。
監督・選手からのコメント
[新井 翔太監督コメント]この大会でメダルを取ることができれば、ハンドボール界の発展に貢献できるという思いを胸に、メダル獲得を目標に大会に臨みました。
それがかなえられず、悔しさでいっぱいです。とくに勝てばベスト4入りだった
スペイン戦は1点差での敗戦。悔しさもつのります。
悔しさとともに、選手たちは一生懸命に取り組んでくれました。そして、歴代最高順位の
7位。この結果は素直にうれしいです。彼女たちを日ごろから育成されている指導者の方がたをはじめ、みなさんに感謝しています。
選手たちはこれからシニア代表へと成長していきます。ここからは大きくレベルが上がり、一概に比較はできませんが、シニア代表でも活躍できるよう、今大会の経験を成長の糧としてほしいと思います。
みなさんの応援のおかげで、一同が試合に集中して取り組むことができました。たくさんの応援をいただき、ありがとうございました。
[中尾 藍キャプテンコメント]目標にしていたメダル獲得には届かず、悔しさが残りますが、歴代最高順位の
7位という結果をこのチームで残すことができ、うれしく思っています。
昨年のアジア選手権後、新しく加わったメンバーもいたので、自分からコミュニケーション、連係をとることを大切にしていました。
とても良い雰囲気で戦うことができたと思います。
スピード、機動力が世界で通用したという収穫もあれば、最後の際のプレーやミスの多さなど、課題も残った大会でした。この経験を活かして、もっと強くなりたいです。
たくさんの応援のおかげで、最後まで戦い抜くことができました。ありがとうございました。
[尾崎 羽南選手コメント]目標のメダルに届かなかったことは悔しいですが、ヨーロッパ勢と競った試合ができたことはプラスに捉えたいです。
(4度のPlayer of the Matchに選ばれた活躍も)ディフェンスに助けられたところが多いです。もっと安定し、勝負強いキーパーになっていきたいです。
[佐茂 春陽選手コメント]自分の役割は全うできたと思います。7mスローも任せてもらい、決め切ることができました。
相手は自分たちよりも大きいチームばかりでしたが、とくにディフェンス面で日本の機動力を活かすことができた大会だったと思います。
ユース時代の対戦で突き放されたスペインとも接戦ができ、自分たちの成長も実感することができました。
[阿部 楓選手コメント]日本が仕掛ける立体的なディフェンスが通用し、全員で走って得点につなげることができた点は自信になりました。個人的にも退場をすることなく守り切ることができました。
所属チームでも今大会の経験を活かし、ディフェンスをさらに磨くとともに、課題のシュート力を高めていきたいです。7人攻撃をされた時、駆け引きで相手を上回り、守り切ることにも取り組んでいきます。
