第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)ハンドボール競技の男子3位決定戦で、男子日本代表「彗星JAPAN」は9月29日(火)、エントリオで韓国と対戦しました。
男子代表は前半を17-12で折り返し、37-32で勝利して銅メダルを獲得しました。日本男子のアジア競技大会でのメダル獲得は、2010年の広州大会以来16年ぶりとなります。
2018年のジャカルタ・パレンバン大会では、同じ3位決定戦で韓国に23-24で敗れてメダルを逃しており、8年越しの雪辱を果たしました。アジア競技大会で韓国に勝利したのは、1982年のニューデリー大会以来44年ぶりです。この試合は、TBS系で地上波生中継されました。
勝負どころでセーブを見せ、銅メダル獲得に貢献したGK中村匠試合結果
| チーム | 前半 | 後半 | 合計 |
| 日本 | 17 | 20 | 37 |
| 韓国 | 12 | 20 | 32 |
● 大会:第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)ハンドボール競技 男子3位決定戦
● 日時:2026年9月29日(火)17:00
● 会場:豊田合成記念体育館 エントリオ(愛知県稲沢市)
● 日本の成績:4勝2敗、銅メダル(全6試合)
この試合のポイント
● 前半立ち上がりから主導権を握り、17-12で折り返す
● 後半、藤坂尚輝の3連続得点などで韓国の反撃を断ち、最大8点差をつける
● アジア競技大会で韓国に44年ぶりの勝利、16年ぶりのメダルを獲得
戦況レポート
前半 17-12
日本は吉野樹の得点で先制すると、中田航太のウイングシュートや吉野の2点目などで4-1とリードを奪います。2分間退場で1人少なくなった場面では、GKを下げてコートプレーヤーを6人にする形で攻め、玉川裕康、後藤隼が得点。GK中村匠の好セーブも光り、開始9分で8-2と突き放して韓国にタイムアウトを取らせました。
その後、韓国のエースに連続得点を許すものの、中田の速攻に加え、田中大介が自らの得点と渡部仁へのアシストで攻撃を引っ張り、点差を保ちます。守備でも市原宗弥が体を張ったブロックで相手のシュートを何度も阻み、22分には16-9とリードを7点に広げました。終盤は得点が止まり、2分間退場による苦しい時間帯もありましたが、終了間際に藤坂尚輝の突破を起点に蔦谷大雅が決め、直後に1点を返されて17-12で前半を折り返しました。
チーム最多の9得点を挙げた中田航太
5得点に加え、味方の好機も演出した田中大介後半 20-20
後半立ち上がりに吉野樹が決めて19-13とリードを6点に広げます。直後に韓国の3連続得点で19-16と3点差に迫られますが、中田、部井久アダム勇樹の得点ですぐに流れを引き戻しました。4点差前後の均衡した攻防が続く中、コートに入った藤坂が3連続得点を決めきって28-21と突き放し、韓国にタイムアウトを取らせます。
2分間退場が続く時間帯もありましたが、田中のカットインや、双方が1人少ない場面での渡部の得点で主導権を渡しません。24分には35-28とリードを広げます。GK中村も勝負どころでシュートを止め、37-32で勝利しました。
均衡した展開の中で3連続得点を決めきった藤坂尚輝
互いに退場者が出た場面でも得点を決めた渡部仁
レフトウィングから2得点を挙げた後藤隼個人成績
得点| No. | 選手名 | 得点 | シュート数 |
| 1 | 中村 匠 | - | - |
| 5 | 中田 航太 | 9 | 11 |
| 7 | 蔦谷 大雅 | 5 | 8 |
| 8 | 櫻井 睦哉 | - | - |
| 14 | 田中 大介 | 5 | 7 |
| 15 | 部井久 アダム勇樹 | 1 | 2 |
| 18 | 市原 宗弥 | - | - |
| 19 | 杉岡 尚樹 | - | - |
| 20 | 渡部 仁 | 3 | 3 |
| 21 | 岩下 祐太 | - | - |
| 23 | 吉野 樹 | 5 | 8 |
| 24 | 後藤 隼 | 2 | 6 |
| 27 | 玉川 裕康 | 4 | 4 |
| 30 | 藤坂 尚輝 | 3 | 4 |
| 32 | 橋本 明雄 | - | - |
| 38 | 水町 孝太郎 | 0 | 2 |
ゴールキーパー| No. | 選手名 | セーブ数 | 被シュート | セーブ率 |
| 1 | 中村 匠 | 12 | 42 | 29% |
| 21 | 岩下 祐太 | 0 | 2 | 0% |
※記録は大会公式リザルトによります。「-」は記録なし。チームスタッツの詳細は上記の公式記録をご覧ください。銅メダルまでの戦い
| 日付 | ラウンド・対戦 | スコア |
| 9月20日(日) | 予選ラウンド 中国 | ○ 31-27 |
| 9月21日(月・祝) | 予選ラウンド ホンコン・チャイナ | ○ 44-17 |
| 9月25日(金) | 予選ラウンド カタール | ● 28-37 |
| 9月26日(土) | 準々決勝 クウェート | ○ 37-32 |
| 9月28日(月) | 準決勝 バーレーン | ● 31-35 |
| 9月29日(火) | 3位決定戦 韓国 | ○ 37-32 |
コメント
トニー・ジェローナ監督「とても良い結果だと思います。もちろん、ホームでこのメダルを獲得できてうれしいです。特に、昨日の悔しい敗戦の後、選手たちが立て直し、今日戦った姿を本当に誇りに思います。
大会全体を通して、体格の大きい選手がいるチームに対しては、より良いディフェンスのために、まだまだ取り組まなければならないことがはっきりしました。また、試合の中でもっとうまくコントロールしなければならない時間帯もあったと思います。
選手たちにも伝えていましたが、ホームでメダルを獲得できる機会はそう多くありません。この雰囲気の中で、背中を押してくれるサポーターの前でプレーできるのは、いつも特別なことです。」
中村 匠選手「負けず嫌いなので、自分的にはいい日というのはあまりなくて、止められているときでも、もっとできただろうと思うところはあります。その中でも今日良かったのは、最後の判断のところを迷いなくできたことです。今回はどうしても6mの近いシュートが増えてきますが、そのときに前に出るのか出ないのかの判断が入ってきます。前に出ると判断しても、まだディフェンスとコンタクトが残っているときは、そのタイミングよりも遅いタイミングでシュートが来るので、タイミングがずれてしまう。そこの切り替えがうまくできなかったのが、バーレーン戦だったかもしれません。今日は待つなら下でちゃんと待って、手を見ながら左か右かを判断できた。そこが昨日とは違ったところだと思います。
前半の最初の10分間ぐらいで5本ぐらい止めたんですけど、そのときに『あ、今日来たかな』と思いました。考えすぎずにタイミングも合っていて、前に詰める、詰めないの判断も、自分の中で正しくできていたのかなと思います。今日は、会場の音、拍手の音にも鳥肌が立ちました。
ゴールキーパーは、つらいときも悲しいときも、試合の中でたくさん出てきます。そのときにもう一歩前に踏み出す勇気を持って、進んでいきたいと僕は思っています。ファンの皆さんの力が、僕たちのその一歩踏み出す勇気につながっていると思うので、今後とも温かい声援をいただければ、皆さんに少しでも温かいニュースをお返しできると信じて頑張りたいと思います。」
中田 航太選手「代表に入って、あまりうまくいくときがなかったので、その中で今大会はこういうふうにうまくいけたのかなと思います。ただ、それは自分だけの力ではないと思います。本当にうれしいです。
気持ちで負けちゃいけないというのは自分で思っていました。それに加えて、大会に入る前にゴールキーパーの匠さんと話す中で、マインドの考え方を教えてくださって、それが自分の中で切り替えられるポイントになりました。
これだけの観客の前で結果を残せて、本当にうれしいですし、最高です。本当に大きな収穫になったと思いますが、これで終わりではないので、ここからまた、だめなところは修正していきたいと思います。」
蔦谷 大雅選手「今大会は2枚目やバックで出る機会が多く、プレータイムをたくさん与えてもらえたので、それをいかに結果に残すかを自分の中で考えていました。調子も上がってきて、それが結果に出たので良かったと思います。ただ、チームとしての合わせは短い期間だったので、完璧ではありませんでした。オリンピック予選や世界選手権でしっかりできるようにしたいです。
まずは会場に来てくださった皆さん、画面の前で応援してくれた皆さん、本当にありがとうございました。なかなか国際試合を日本でできることがない中で、銅メダルという結果を出せたのは本当にうれしいことだと思っています。」
田中 大介選手「セットディフェンスの部分ではこちらが少し有利かなと思っていたので、攻撃ではしっかりボールを失わないように、確実に1点ずつ重ねていけば点差は開いてくると考えていました。最初は丁寧に、若干慎重めに入ったつもりです。スピードに関しては、日本はアジアでは1、2を争うチームだと思っているので、そのスピードの中で今日は展開できたと思います。最後のシュートの部分は課題が残りますが、プレーに関しては良かった方ではないかと思います。
16年間メダルを取れなかったので、1個取れば、また4年後にその経験が生きてきます。一歩先に進めたというのは大きいと思います。この前負けたクウェートにも勝てたので、そういう面でも1つ成長したのではないかと思います。今日勝てたのは、ホームの声援の力が大きかったと思います。
バーレーン戦では、シュートミスをする時間帯とディフェンスでやられる時間帯が重なってしまいました。シュートを外したとしてもディフェンスではファイトする。ファイトすれば点差自体は変わらないので、その部分はみんな意識して、うまく切り替えながらやれたと思います。キーパーの2人が本当にシャットアウトしてくれたので、うまくゲームを進められました。
ポストの得点が少なかったのは、日本のオフェンスの課題だと思います。ロングもブレイクスルーもサイドもポストも、もう少しバランスよく取れたら、また違う色のメダルが取れたかなと思います。」
部井久 アダム勇樹選手「最初の目標とは違いましたが、こういうゲームは何回も経験してきた中でも、すごくタフで、気持ちの面で作り直すのがすごく難しい試合でした。それでも日本開催ということで、今日はこれだけのファンの皆さんに入っていただいて、たくさんの歓声をいただいたおかげで、僕らも弱気になりそうな瞬間もありましたが、戦い切れたと思います。銅メダルという1つ形になるものが残ったので、すごく良かったなと思っています。
(観客に声援を促した場面について)ちょうど静まり返ったタイミングだったので、何か力をもらえないかなと思って促してみたのですが、皆さんがすごく乗ってくださって、本当に助けになりました。
この間のアジア選手権もそうですし、前回大会もそうですし、あと1本というところで形に残るものがなかったので、その悔しさはずっとありました。1つステップアップできたのかなという部分で、良かったと思っています。」
渡部 仁選手「8年前のジャカルタ・パレンバン大会のときも、負けて3位決定戦に行きました。負けた後の試合は精神的に立て直すのがすごく難しいのですが、今のチームは負けた後もしっかりとメンタルの部分から立て直して、チームとして戦えています。そういった部分で代表チームの成長が見られましたし、1月のアジア選手権の3位決定戦でクウェートに1点差で負けた直近の大会からも、成長できたと実感しています。
キャプテンの水町選手を中心に、選手同士のコミュニケーションが非常に活発なチームです。水町選手はすごくポジティブな声かけをしますし、若い選手が勢いよく伸び伸びとプレーできる環境を彼が作っていて、それがチームにすごくプラスに働いているのかなと思います。
特に今日の3位決定戦はお客さんの声援がすごくて、流れがどうしても韓国に行きそうなときも、応援の力で流れを渡さなかったり、応援に選手が応えていいプレーをしたり、本当に苦しい場面で助けられました。
これまでプレー時間があまり長くなかったので、自分の中で思うところもありましたが、今日はいつもより長いプレータイムをもらったので、しっかりと結果を残そうと、いつもより気合いは入っていました。トニー監督も言っていますが、時間を使って我慢して攻める。簡単にシュートを打たずに、体を張ってしっかりと間を割りに行くことで、単発な攻撃に終わらず、自分のストロングポイントのフィジカルを生かした突破ができたのかなと思います。」
吉野 樹選手「ジャカルタ大会、そして前回の杭州大会でもメダルに届かなかったので、今回も本当にメダルを取ることを目標にしていました。今回は地元開催ということもあって、絶対にみんなの前でメダルを持ち帰ろうという強い気持ちがすごくあったので、本当にほっとしていますし、うれしいです。
いいときもあれば悪いときもある、まだ波のあるチームだと思います。いいときをいかに続けられるか。それを続けられたら本当に僕らは強いと思うので、世界選手権やオリンピック予選に向けて、もう1回突き詰めていかないといけないと感じました。
経験している選手がチームを落ち着かせたり、若い選手が勢いをつけてくれたり、ベテランと若手のバランスは今大会本当に良かったと思います。僕もそういう役割をしようと思って、流れを見て止めるところは止めたり、行くところは行ったり、そういうところは落ち着いて判断できたと思います。
個人的には、今大会はなかなか満足のいくパフォーマンスができなかったので、まだまだ未熟だと感じました。まだまだ上を目指して頑張りたいと思います。」
後藤 隼選手「自分の中で気持ちを切り替えるというか、気持ちを作るところから始めて、2試合ともほぼフルの状態で出ました。フルで出るからこそ、チームの流れがコートの中で一番分かるので、そこで流れを切ったり、さらに流れに乗せたり、そういうところに自分が代表として関われていたと思います。
他の選手と違って、僕は持ち味がディフェンスだと見られていると思いますし、1枚目じゃなくて2枚目、3枚目ができる中でのポジションだと思います。昨日と今日の試合はディフェンスで結構アピールができたので、そこは良かったと思います。
今回は本当にとてもいい経験をさせてもらいました。次は1月の世界選手権に向けて、まずはメンバーに選ばれることが僕の目標です。リーグでもしっかりと活躍して、選ばれた際はヨーロッパの強豪国と試合ができるので、そこでもまたいい経験ができればいいなと思います。」
コメントは、インタビューでき次第この記事に追加します。(9/29 20:00コメント追記)
フォトギャラリー
シュート4本をすべて決めた玉川裕康
前半終了間際のゴールを含む5得点を挙げた蔦谷大雅
後半、流れを引き戻す得点を決めた部井久アダム勇樹試合映像
この試合のアーカイブ映像は、動画配信サービス
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